STONEWALK KOREA 2007 BLOG

世界中の戦争で苦しめられた人々を悼むための碑石を、特別制の台車にのせて、朝鮮半島を縦断して、人力で牽きながら歩く「ストーンウォークコリア」の告知のためのサイト
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李時雨氏の無罪判決を求める緊急要請書
 沖縄・済州島フィールドワークや先日の陜川でのワークショップにも参加された韓国の写真作家、李時雨さんは、昨年のストーンウォーク・コリアの時には国家保安法と軍事機密保護法違反容疑で検挙・投獄されていましたが、第1審では完全無罪を勝ち取りました。しかし、韓国の検察当局は不当にも控訴し、現在ソウル高等法院(高等裁判所)で控訴審がおこなわれています。
 今日10月9日の第5回公判時に、ストーンウォーク・コリア日本側実行委員会の名前で裁判所に提出した要請書を紹介します。




ソウル高等法院 御中

李時雨氏の無罪判決を求める緊急要請書



 韓国の写真作家、李時雨氏はこれまで在韓米軍基地やDMZ(非武装地帯)周辺を取材し、対人地雷やウラン兵器の非人道性について警鐘を鳴らすとともに、芸術的にも優れた作品を発表してきました。しかし、2007年4月19日、李氏は国家保安法違反等の嫌疑で逮捕され、約5ヶ月にわたる獄中生活を余儀なくされました。合法的に入手し、公表した情報であるにもかかわらず、軍事機密漏洩にあたるとされたのです。獄中、李氏は48日間にわたる命がけのハンガーストライキを行い、国内外からは即時釈放を求める声が上がりました(同年9月14日保釈)。

 2008年1月31日、李時雨氏は画期的な無罪判決を勝ち取りました。判決は国家機密の範囲を厳格に解釈し、李氏の取材活動の合法性を認めたのです。表現の自由を重んじ、国家保安法の恣意的な適用を戒める一審判決に、私たちは人権の砦という言葉を改めて想い起こし、司法府の良心に感動しました。しかしながら、検察側が控訴したために二審が始まり、既に4回の公判が開かれています。一方、多数の貴重なフィルムが当局の没収により傷つけられたため、李氏も損害賠償請求訴訟を起こしています。

 私たち「ストーンウォーク・コリア」は、2007年4月末から6月中旬にかけて、戦争犠牲者を追悼しながら、墓石に見立てた約1tの碑石を引いて歩く平和巡礼を行いました。釜山から臨津閣までの旅を通じて、私たち日本のメンバーは植民地支配の傷の深さを再認識するとともに、解放のために闘った韓国の人たちの自主独立の精神を学びました。そして、解放後も続いた長く厳しい道のりと、それを乗り越えてきた韓国の人たちの歩みに尊敬の念を覚えました。植民地支配、あるいは独裁政権の下、過酷な生を強いられながらも粘り強く闘った韓国の人たちの姿は、何ものにも奪うことのできない人間の尊厳というものを私たちに教えてくれました。それはまた、李時雨氏が獄中で身をもって教えてくれたことでもあります。

 韓国は今年、建国60周年を迎えました。李明博大統領は、第63周年光復節及び建国60周年記念式典(2008年8月15日)の祝辞で次のように述べました。「4.19革命に5.18民主化運動、そして6.10抗争を経て、人権と民主主義は、(韓国に)確実に根を下ろしました」。「不義と独裁に真っ向から闘った数多くの学生や市民、(中略)これらの方々がいらっしゃらなかったら、民主化の道は、まだまだ遠いものだったでしょう」。そして、「今後60年は、成熟した自由を具現化する時間でなければなりません。その時初めて、大韓民国の建国は完成されるのです」と。

 建国と同年の1948年、国家保安法は制定され、数次にわたる改定を経て今日に至っています。南北分断という特殊状況の下、北韓の脅威から韓国の安全を保障するという名目で制定された法律ですが、逆に市民の自由を抑圧するものとして機能してきました。憲法裁判所も当局による恣意的適用の危険性を認めており、同法第7次改定(1991年)では、「法の解釈適用にあたっては、国民の基本的人権を不当に制限することがあってはならない」という制限規定が新設されています。その後も、国連人権委員会(現国連人権理事会)やアムネスティ・インターナショナル等の国際人権機関・NGOから、国家保安法の反民主性、反人権性は指摘され続けています。

 かつての独裁政権下、国家保安法が弾圧手段として濫用された時代は、司法府が自らの良心を放棄し、権力による人権侵害を追認・幇助した時代でもありました。政権の強圧から司法の独立を守ることができず、憲法や刑事訴訟法の規定を破り、司法が不正に手を貸した時代でした。その間に韓国民衆が強いられた苦痛は計り知れず、司法もまた国民的信頼を失いました。

 李容勳最高裁判所長官は、司法60周年記念式典(2008年9月26日)において、次のように述べています。「権威主義の体制が長引き、裁判官が毅然たる姿勢を守れず、憲法の基本的な価値や手続き上の正義に背く判決が言い渡されたこともあった」。すなわち、過去の政権が体制維持のために民主化を求める学生や一般市民を拷問し、多数の事件を捏造したことに対して裁判所もその責任を認めたのです。そして、過去の不幸を教訓にして、「裁判官の良心と司法の独立を堅く守る」ことを明言しました。

 私たち「ストーンウォーク・コリア」も、過去の歴史を真摯に学びながら、平和の道を歩んでいきたいと願っています。今年は、沖縄(2月)、済州島(4月)、慶尚南道陜川(8月)において日韓共同フィールドワークを行い、そのいずれにも李時雨氏は参加されました。沖縄フィールドワークにはご家族で参加され、沖縄の歴史や文化をともに学び、沖縄の人たちと心あたたまる交流をしました。済州島では日本の植民地時代の遺跡や4・3事件の現場を訪れ、犠牲者の冥福を祈りました。「韓国のヒロシマ」と呼ばれる陜川では、被爆者の方々と交流し、原爆問題について学びを深めました。このような平和の道行きを通じて、日韓市民の友好が深まり、友情と信頼の絆が生まれました。私たち日本のメンバーにとって、今や李時雨氏は家族のような大切な存在です。

 貴法院が正義と良心に基づき、李時雨氏の無罪判決を出されますよう心より要請致します。

2008年10月9日

ストーンウォーク・コリア日本側実行委員会

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